思い出のアルファロメオ　その2

　ＧＴＶの気になるところを治そうかと全部の項目にわたって一応見積もりを取ってみました。
それが結構な金額になったんです。ならばということで、買い換えも検討してみることにしました。
一応叩き台になる数字は出ているものですから、それ以内で捜してみました。
すると・・・（今考えると）トンデモナイ話が出てきたんです。ＧＴＡ1300Ｊｒです（！）。
当時値段が日本円、現地で200万強でした。まだバブル景気前のことです。
でもさすがに気が引けたというのか、現実味がなかったですね。イメージが湧きませんでした。
当然現物はイタリアにあって、とすると輸入するということになります。
当時は一般には並行輸入でいろいろ入って来ることも、そんなに目にしませんでしたし
一部の業者がマニアックな車種をポツポツ入れているのを雑誌の広告で見るくらいでした。
ですから体験者も身近にはいなかったので漠然と不安でした。
目の前にあるのは数枚の写真だけ（またこれがよく撮れてる！）・・・随分考えました。
結局、軍資金も分割払いの審査が通ってメドがたったし、支払も通関・予備検取得後でＯＫ
と、いうことで誘惑に負けて注文してしまいました。予定は３ヶ月程度ということでした。

　ＧＴＶは雑誌の個人売買欄で、買ったときの値段くらいで苦もなく売れました。
思えばそろそろ古い車の人気が出てきて値段が上がろうとしていたころでしょうか。
残念といえば残念でしたが、その時は希望の方がずっと大きかったですね。
ただ手元にアルファがなくなったので、手持ち無沙汰というのか退屈というのか。
そこでミニカーなんかを買ったりしていました。「おもちゃ箱」に掲載の1/43はこの頃の物です。
３ヶ月が過ぎても連絡はなく、催促にも「もう少しです」の返事ばかりでやきもきしていました。
まぁ内金など納めたわけではなかったので気楽といえば気楽だったのではありますが。

　待ちくたびれてあきらめに似た気持ちも芽生え始めていたころです。
ポコっと下取りに出たアルファ・スッド1.2ti（赤・右Ｈ）をどうか、という話がありました。
このころスッドはタマ数が豊富にあり、どれも安かったですね。１０万以下でもありました。
しかしいい評判はなかったです。作りが荒くサビもよくでる、ＦＦはらしくない、etc・・・。
その通りにその手のショップには程度の悪いセダンが2.3台はころがっていたものです。
一応ＧＴＡを待っている状態でしたから、無駄遣いはイカンなぁ、と思いつつ
何もないよりは・・・ＧＴＡは来ないカモ・・・来てもすごく遅れるカモ・・・何より安いし、
などと言い訳が出揃ったところで買ってしまいました。アルファスッド1.2tiです。



　半ばヤケクソ（とまでは言わないが）、ＧＴＡまでの継投と、いうような意識でつい
特に期待もなく買ってしまったには違いなかったのですが・・・。
これが楽しいのなんの！前言ぜ〜んぶ撤回、ゴメンナサイ、さすがはアルファロメオ！
よかったんですよ。ホントに。とにかく軽快、痛快。楽しかったです。
ＧＴＶも楽しかったには違いないのですが、初めてということもあり壊しちゃいけないとか
うまく乗らなきゃいけないとか、妙な緊張感を持って乗っていたのも確かで
これが気楽に接したのがよかったのか、期待をしてなかったのがよかったのか、
たしかに絶対的なパワーこそ足りないものの、しょぼいタイアでもそんなことは関係なく
スルスルと回っていくあの軽快なコーナーリングは◎です。

　　自分のことは棚に上げて、ですが、“ど・アンダー”を出してしまう乗り手もいましたね。
　　うまく乗る人はオン・ザ・レールなんですけどね。
　　後に乗ったプジョーの205ＧＴＩ1.6が乗り味が近いと思ったことがあります。



ちょっとした山間部に住んでいる私にとっては「下りの王様」という気分でした。
同じスッドでも1.5になると少しパワーが過ぎて軽快感を損なう感じがしますから
スッド1.2ti、スッド・スプリント1.3が好きです。今でも程度のいいのがあれば欲しいですね。
ただ、たしかに作りは感心できるものではなかったです。ドアやトランクのヒンジ、
室内のプラスチックなんかは、これでいいの？という感じではありました。
そのあたりはスッド・スプリントになると随分よくなっていましたけど。
ともかく見てくれは少々ボロではありましたが、そんなこんなで随分楽しみました。
やはりクルマは乗ってみないとワカランなぁと思います。
“走る”ということに関してはとてもいい、と思うのに他の部分のせいで評判が悪く残念です。

　ついつい忘れて数ヶ月が過ぎましたが、ある時とうとう連絡が来ました。
「ＧＴＡが横浜に着いた」、ついにＧＴＡ1300Ｊｒがやってきました。

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